ミラノ在住22年の著者による、極上エッセイ。『ミラノ 朝のバールで』
本屋さんで『ミラノ 朝のバールで』というエッセイ本を見つけた時、一瞬で惹き付けられ、久しぶりに本の「ジャケ買い」をしました。
深緑に上品な金文字でタイトルと著者名が印字された表紙には、雰囲気のある写真を生かした幅の大きな帯がかかっており、その写真も、柔らかな窓からの陽光のなか、見つめあう猫が2匹……、という温かみのある1枚。極めつけは帯の粋な惹句で、
「人生はブリオッシュ。甘くて美味しくて、すぐに食べ終わってしまう」
ハッと手にとって、中を確認することもなく、レジへ直行しました。こんな速攻の「ジャケ買い」はいつ以来だったか!
そんな本書の著者は宮本映子さん。未知の著者でした。それもそのはず、本書は宮本さんの初エッセイ集なんですね。インターネットで調べてみると、以前、イタリア料理とデザートの本を出版されていました。イタリア料理に詳しい方だったら、ご存知なのかな? 不勉強ながら宮本さんを存じ上げなかった私ですが、本書を読んで、いっぺんに大ファンになりました! というのも、「ひと目ぼれするほど、素敵な表紙」にふさわしい、心に残る、極上のエッセイがぎっしり詰まっていたからです。
現在、イタリア人の夫が経営するレストランでパートナーとして働く宮本さんが、ミラノに渡ったのは22年前、20代半ばの頃です。イタリアに魅せられたきっかけは、もっとずっと前に遡り、10歳の誕生日に3歳上のお姉さんがくれた1冊の写真集でした。「イタリアという見知らぬ国」で撮られた美しい風景やそこに写る色や形に衝撃を受け、イタリアは恋焦がれる場所となり、また、そうした美しい写真を撮った写真家にも興味を持つようになったといいます。この写真家との一風変わった交流も、本書の読みどころです!
家の事情で大学を中退し、就職していた宮本さんは、「イタリアにてウエイトレス募集」という広告を見つけて、いてもたってもいられなくなり、とうとうイタリアの地を踏むのですが、実際に暮らしてみたら、期待通り、イタリアはすこぶる魅力的な国でした。時に襲われる激しい寂寥感や、おせっかいで騒々しいイタリア人に悩まされることはあっても、「ここでずっと生きていきたい」と思うのは、美しい街並みもさることながら、生活を心から楽しむイタリア人との日々が愛おしいから。
地域ごとに風土や文化は微妙に異なるけれど、イタリア人気質というのは共通で、朝から馴染みのバール(イタリアのカフェ)で陽気にエスプレッソを飲み、隣近所はもちろんのこと、見知らぬ者同士でも、わいわいしゃべりまくって、人との距離間がとても近い。ファミリーや友達に対する愛情は当然深く、盛大にその愛情を表し、特に男性の「マンマ」ラブ!なマザコンっぷりは、呆れるのを通り越して、微笑ましく思うほど……らしい。
在住22年でも、未だにぼられることもある買い物や、思わず笑っちゃうほど、シャレの効いた詐欺(!)や、テレビのニュースでさえ時刻通りに始まらないなど、文句を言い出したらキリがない「いい加減さ」もまた、イタリアらしさ。こうしたイタリア人たちの姿を宮本さんは楽しげに、愛おしげに描いています。
それにしても、なぜ、かくもイタリア人は、毎日の生活をこれでもか!というほど、楽しもうとするのか。その背景を推測し、考察する宮本さんの文章は、ちょっと哲学的で哀愁を帯びていて、グッと胸に迫ってきます。驚きのエピソード満載のこのエッセイ集が、エスプレッソのように、味わい深く、コクがあるのは、「ただ面白おかしい」だけじゃないから。素晴らしいエッセイストが誕生しました。きっとまた、じっくり醸成した次作を発表してくれるに違いありませんが、それまでは首を長くして待ちながら、本書を何度でも読み返したいと思います。
『ミラノ 朝のバールで』(文藝春秋)定価1450円
宮本映子 著
お勧め度 ★★★★★ 今回はもうひとつおまけに★!
『ミラノ 朝のバールで』を発行している文藝春秋のサイトはこちら。
http://www.bunshun.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
マキア
2008年6月号
今月の『マキア』は読者全員に希望を与え、キレイになるための努力を惜しまないようにとハッパをかけてくれています。
目覚めよ! 私の美女種(びじょだね)
は、「誰にでも眠っているもっと美しくなれる種」を育て、花を咲かせましょう、という大特集で、「美女種を育てる」ヒントが満載! 本特集で「新マキアビューティズ」の三人も発表されました。また、コスメマニアが待ちきれない、夏の新作情報もバッチリ、キッチリ載っています。
夏新色 25ブランド大カタログ301点
は、ズラリと揃った新作と新色が大きな写真で紹介されているので、実物をイメージしやすいのが◎でした。
早くも8回目となった連載
クラシックギタリスト 村治佳織 美の音源
では、不肖・中沢が村治さんにコンサート直前の過ごし方を根掘り葉掘り伺っております。体調と気力を整えるプロのあり方が参考になるので、ぜひ読んでくださいね。
ナチュラリュクスなうっとりコスメに夢中!
では、自然派コスメブランドを改めて紹介。話題の最高級オーガニック・スキンケアブランド「インフィオレ」が期間限定で「マキア ブティック」にて購入可能です。詳細はこちらで!http://swfs.jp/contents/maquia.html
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2008-04-29 | 固定リンク
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コメント
本を読んでいただいて、ありがとうございます。
中沢さまの書評は、これからもがんばって書きつづけるぞーという
パワーをいただけるやさしいお言葉でした。心から感謝いたします。
ありがとうございました。
投稿: 宮本映子 | 2008/07/02 4:41:15