不動産の動向を通して、近未来の日本を予想したベストセラー『不動産は値下がりする!』
高騰する都心の不動産価格――と、ビジネス誌のタイトルみたいな文章で始めちゃいましたが、不動産価格、最近、すっごく上がっています。ここ数年、都心の風景はめまぐるしく変貌しており、六本木ヒルズや東京ミッドタウンのある六本木や、新ビルが続々誕生している銀座の土地の値段が高騰するのはむべなるかな、と思うけれど、それにしてもですよ、「銀座・鳩居堂前」の坪単価が8000万円を超えた、なんてニュースを聞くと「バブル」と言われた時代を思い出します。10数年前、あの場所は「坪単価1億」を超えました。つまり、土地の値段の高騰っぷりは「あの頃」に迫る勢いの昨今なわけです。
ま、銀座や六本木の一等地の値段が上がるのは構いません。庶民には関係ない次元の話だし、そもそも「銀座・鳩居堂前」の土地なんて誰も買わないし、買えないのだから。
問題は、そんな都心の一等地の価格高騰につられて、住宅地の値段も上昇している、ということ。バブルが弾けた後、好立地を破格値で買った幸運な人なら儲けどころかもしれませんが、いつか買うつもりの人、近い将来買う予定の人にとって、この上昇傾向がいつまで続くのか、日本中に共通する傾向なのか? などは、将来設計に大きく関わる問題です。
そんなわけで、本書『不動産は値下がりする!――「見極める目」が求められる時代』がベストセラーに躍り出ました。インパクトが大きいタイトルですよね。著者は江副浩正さん。そう、リクルートの創業者で、政財界を揺るがした「リクルート事件」で有罪となり、表舞台から姿を消した、あの江副さんです。衝撃のカツラ姿で変装した彼を覚えているのは、私世代までなのかなあ……。
それはいいとして、さすがかつてのベンチャー王。マスコミに登場する機会が減った今も、時代を見据え、読み解き、予想する力は衰えていません。豊富な経験と知識をもとに解説される、昨今の不動産事情の話は読み物としても面白く、たとえば「都心一極集中 まだ床が増産され続ける」という見出しがついた第3章など、「そういえばそうだなあ。高層ビルがジャカスカできるってことは、床が増え、不動産も増えるってことだよなあ」と改めて思いました。今後も「都心回帰のトレンド」は続き、都心の不動産価格はまだ上昇していくだろう、と江副さん。ふーん、そうなのか~。
って、おい! 『不動産は値下がりする!』んじゃないのかい!?
と思ったら、「都心の価格高騰につられて上がった」周辺部の不動産価格は、今やすでに「ミニバブル化」していて、よほど魅力的な街づくりをしている土地でない限り、下がっていくとおっしゃるのだ。
そう、つまり、普通の庶民にとっての読みどころは、このあたりなんである。最近、不動産を買っちゃった人は「げげ!」と思うだろうし、これから買う人は「じゃあ、しばらく待とうかしらん」という話なんだけど、都心でなくとも、将来的に魅力が増しそうな土地の場合は、早めに買ったほうが得策だそう。要するに、しっかり勉強して「見極める目」を駆使し、よくよく吟味して土地を選べ! ということなんですね。ふらっと立ち寄ったモデルルームに一目ぼれ、みたいなのは、ちょっと待て、と。
20年前の江副さん自身、もうちょっと「見極める目」を持って仕事をしていれば、現在は経済界の重鎮となっていただろうに……とツッコまずにいられませんが、やはりひとかどの人物は違うなあ、という思いも、またしました。現代の日本に今、何が起ころうとしているのか。いろいろ考えさせられる良書でした。
『不動産は値下がりする!――「見極める目」が求められる時代』(中公新書ラクレ)定価777円
江副浩正 著
お勧め度 ★★★☆☆
『不動産は値下がりする!――「見極める目」が求められる時代』を発行している中央公論新社のサイトはこちら。
http://www.chuko.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
エクラ
2007年 11月号
創刊第2号の『エクラ』、今回も充実しています。メインテーマは、
美しい「デザイン」が作る豊かな暮らし
で、ホテルオーナーやセレクトショップディレクター、女優・秋吉久美子さんの自宅など、センスある人々の住まいを紹介。また、今をときめくクリエイター、佐藤可士和さんに「デザインの原点」について話を聞いたりと、多角的に「暮らしとデザイン」に迫っています。もちろん、『エクラ』名物(?)の極上通販エクラプレミアムも見逃せません。私は見るからに美しい「いろはかるた」に惹かれました。創刊号の通販では、発売直後に売り切れたアイテムも多いらしいので、気になるアイテムがあったら即アクセスしてくださいね。
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2007-10-09 | 固定リンク
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