子に注ぐ親の愛のあり方に、果たして「正解」があるのだろうか。宮部みゆきさんの話題作『楽園』
『模倣犯』は宮部みゆきさんの代表作であるだけでなく、日本ミステリー小説史上、燦然と輝く名作です。冷酷でクールな犯罪者「ピース」の心の闇におののき、そして、物語のように、無差別で陰惨な事件が次々と起こる現代社会に、私たちが今、実際に生きていることに思いを馳せ、心が「しん」と静かになる強烈な作品でした。
その、超ベストセラーとなった『模倣犯』から6年。宮部さんから、ある意味で「模倣犯の続編」とも言える大作『楽園』が届きました。
『楽園』が『模倣犯』の「ある意味で続編」と言うのは、『模倣犯』の登場人物、ライターの前畑滋子が再び殺人事件を追うからで、また、「ピースのその後」も断片的にですが記されていました。もちろん、物語の核となる事件は全く別のものですが、文中で「9年前の事件」と呼ばれるピースの事件が「滋子の中で終わっていない」からこそ、滋子は今回の事件に深く関わっていった。ですから、『楽園』が『模倣犯』の、いわゆる「スピンオフ作品」であると言っても、大きく間違ってはいない……と思います。
両親に殺され、16年間、床下に隠されていた少女の遺体と、その遺体を「透視」していた12歳の少年。その少年「等」は交通事故死します。そして、生前に「等」が描いた不思議な絵を持って、少年の母・敏子が滋子の元を訪れることから、物語は始まります。
等はなぜ、見たこともないはずの光景を「絵」に描いたのか。少女はなぜ、殺されなければならなかったのか。隠し続け、息を殺し、ひっそりと生きる道を選んだ少女の両親の想いとは? 理不尽な不幸に見舞われた、少女の妹のやりきれなさは? 「9年前の事件」は滋子をどのように変えたのか――。
人間関係や人の心が、複雑に絡まり、もつれあって、いかんともしがたい事態になるのは、世の常かもしれません。闇に沈んでいる人間に、一筋の光を当てられるのは、やはり、人間の優しさしかないけれど、その優しさが思うように届かない、届かないばかりか、闇を一層濃くしてしまうことだってある怖さ。親が子を想う気持ち、子が親を想う気持ち、夫婦がお互いを想う気持ち、その想いの有り様に「正解」なんかない。「彼らは間違った」と後ろ指を指すのは簡単だけど、自分には「一点の曇りもない」と言い切れる人がいるのだろうか。
宮部さんは『楽園』で、読者にそんな重い問いを投げかけているように思いました。
ところで、本作に似た事件が執筆準備中に実際に起きたことにとまどったと、宮部さんは「あとがき」に記しています。本作執筆を断念することも考えたそうです。それでも宮部さんは、やっぱり書いた。書かずにはいられなかった。なぜか。『楽園』で滋子は「滋子にとっての9年前の事件」を整理しようと試みますが、宮部さん自身にとっても『模倣犯』は特別な作品で、滋子と同じ思いだったのかもしれませんね。
現実がフィクションに限りなく近づいている世の中で、小説を生み出す難しさを、きっと宮部さんは感じていらっしゃると思いますが、だからこそ、宮部さんの優しくも冷静な視線で描かれる小説が、読者の心の支えになるんだと思います。
『楽園 上・下』(文藝春秋)定価各1700円
宮部みゆき 著
お勧め度 ★★★★★
『楽園』を発行している文藝春秋のサイトはこちら。
http://www.bunshun.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
マキア
2007年 11月号
早いもので『マキア』も創刊3周年を迎えました。3年か~。あっちゅう間だなー。ついこの間、創刊した気がするのに。年々、時間があっちゅう間に過ぎ去ります。さて、3周年ということで、今月の『マキア』は記念超特大号。豪華別冊付録が2つも付いています。
マキア格上げ肌BOX マキアオリジナル うっとりリボンネックレス+インプレス コンセントレートマスクN
は、うっとりリボンネックレスとカネボウ化粧品最高級ラインの豪華マスクという、太っ腹セット。ここぞ! という時に、威力を体感してみたいです。
マキア×クリニーク オリジナルクリアファイル
もいいですよ。仕事柄、本当に何枚あっても困らないクリアファイル。こういうキュートなクリアファイルがあると、楽しく仕事ができます。
その他、大特集のファンデーション&ベースメイク立体大特集、おネエ★MANSビューティ図鑑など、読み応えたっぷり。2Pのプチ記事だけど、侮るな!コットンもためになりました。
シュプール
2007年11月号
カラフル! とにかく今月の『シュプール』の表紙はカラフルです。オレンジのワンピースにイエローのタイツ。斬新だー。この秋冬は、久々に「黒」が流行色になっているけれど、『シュプール』読者は、ちと違います。
モードな私たちのメイン色(カラー)は“黒以外”
だそうです。いいなあ、フューシャピンクの、中綿入りふわふわショートジャケット。おなじみ「アンテプリマ」のワイヤバッグも、パッキリどピンクだとファンキーです。「サロット」のブルーのワンピースも素敵。うーん、今週、念願のブラックレザージャケットを予約したばかりなんだけど、黒以外も、やっぱり着たくなっちゃうね。
ジャージ好きの私としては、
ニュージャージーズ&フーディーズ
というページにも、目が釘付け。すげえ、いくらお金があっても足りないよ。小粋なジャージ&フードが、ずらっと並んでました。強いて「1枚だけ」って言われたら、「D エストネーション」のフードジャージにしようかな。23100円とお値段もお手頃。ショップに行ってみようっと。
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2007-10-02 | 固定リンク
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