大ブレイク中の写真家、梅佳代さんの著作3連発。『男子』&『うめ版』&『うめめ』
「写真界の芥川賞」と称される「木村伊兵衛賞」を今年、受賞したばかりの梅佳代さん。「情熱大陸」や「誰でもピカソ」などテレビ番組に登場したこともあり、今、大ブレイク中です。コーナーを設けている本屋さんも多いので、気になっていた方も多いのではないでしょうか。
「うめかよ」と平仮名で表記されることも多い彼女。当たり前ですが、漢字と平仮名、読み方は同じだけど、写真を見ていると、うんうん、なるほど、「うめかよ」という優しげで、ちょっとすっとぼけた感ありの平仮名表記が、確かにしっくりくるなあ、と思います。なんというか、写真の世界観がとっても「平仮名的」なのね。
「うめかよワールド」は「写真界の恐るべきオンナコドモ」と評されることもあるそうですが、言い得て妙といいますか、半径数メートルの日常で起こる、生命が弾けた瞬間をとらえた作品が多く、よって、「写真でござい」といった堅苦しさが皆無なんです。「男もすなる…」の土佐日記じゃないけれど、難解な作品然としたイバった感じがなく、誰でもスッとワールドに溶け込めるような、軽やかさ。「クスッ」と思わず微笑んじゃう。だからその昔、オンナが使った平仮名で「うめかよ」と表記したくなる気持ち、わかります。
最新作『男子』は「うめかよの原点」とも言うべき被写体、「小学生男子」たちの、嬉々としてバカやってる生態が楽しい1冊です。シャッターを向けられると、アホなポーズや変な顔をして、おどけないと気がすまない「いちばんバカでいちばんカッコイイ季節」を生きる小学校高学年の少年たち――。
「あとがき」によると、「掲載許可をもらいに」会いに行った、「5年前の小学生男子たち」は、ガキっぽさを残しつつ、時折大人びた発言をする立派な高校生になっていた様子。何をやっても楽しくておかしくてたまらなかった、そんな愛すべき少年時代は、もう二度と戻ってこないということを、果たして高校生になった彼らは気づいているのかしら。
「あの頃はもう二度と戻ってこない」と、とうに気づいている大人の私たちは、この写真集を開くごとに、あの頃を思い出すとしましょう。
お次は、個性的な辞書として、一部で熱狂的に支持されている「新明解国語辞典」と「うめかよ」がコラボレートしたユニークな作品『うめ版―新明解国語辞典×梅佳代』です。「言葉」は時に「字面以上の何か」になりえないことがあるけれど、ヒューマンな写真と「言葉」が組み合わさると、「言葉」の意味が立体的になって、グッと胸に迫ってきます。私が特にグッときた写真&言葉は、「悔しい」と「好漢」。偶然ですが、どちらも「小学生男子」が被写体です。もちろん他の被写体もいいんですが、やっぱり「小学生男子」は別格で、素晴らしい作品が多い気がしました。
最後はデビュー作『うめめ』。「最強ご近所写真」と帯に書かれているとおり、「うめかよ」が行く先々で気軽にサクッと撮ったような、力の抜けた、いい感じの写真がぎっしりです。「魅惑のポルノ映画」と書かれたポスターの前でたたずむおじさん、サイン会場のヒーロー、「浅草ロックス」前にあるウルトラマンのそばでアクビするおじいさん、ウンチ真っ最中の犬……。私たちも街で何気なく見かけている風景のような気がするけれど、こんなにグッドタイミングで写真におさめるなんて、絶対にムリです。「気軽にサクッと」撮っているように見えて、やっぱり、プロの技をひしひしと感じる、さすがの作品なのでした。
『男子』(リトル・モア)定価1995円
梅佳代 著
お勧め度 ★★★★☆
『うめ版―新明解国語辞典×梅佳代』(三省堂)定価1470円
『うめめ』(リトル・モア)定価1890円
『男子』『うめめ』を発行しているリトル・モアのサイトはこちら。
http://www.littlemore.co.jp/
『うめ版―新明解国語辞典×梅佳代』を発行している三省堂のサイトはこちら。
http://www.sanseido-publ.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
エクラ
2007年 創刊号
創刊宣言号を経て、とうとう創刊された『エクラ』。創刊宣言号も、じっくり丁寧に読みたい記事が多かったけれど、満を持しての創刊号は、さらに充実の内容でした。大特集主義を掲げる『エクラ』、創刊号のお題は「パリ」です。
憧れはいつも「パリ」からやって来た!
と題して、パリという街の奥深い魅力を伝えてくれています。女優・黒木瞳さんがジャン・コクトーの眠る礼拝堂を訪ねたり、彫刻家・舟越桂さん、フランス文学者・鹿島茂さんなど「ルーブル通」による「ルーブル美術館」の楽しみ方、パリ・オペラ座ガイド、パリ在住のエクラ世代によるパリ案内など、この1冊があれば、パリの旅が2倍も3倍も楽しくなる情報がいっぱいでした。ちなみに、特別付録は「木村伊兵衛のパリ」ポストカードなんですよ。実はエクラ編集長から直接聞いたのですが、「このポストカード、編集長の僕も、ものすごく気に入っているんだよ!」とのこと。また、
別冊付録 極上通販エクラプレミアム
は豊かな気分を運んでくれる、フランスらしい品々がたくさん紹介されています。この別冊付録はエクラのサイトでもデジタルカタログとして読めるので、じっくり吟味してくださいね。
エクラ世代にはまだ遠い若輩者の私ですが、『エクラ』はお世辞一切抜きで、面白く読みました。読みでのある雑誌を求めている方なら、ターゲット外だとしても、きっと楽しめると思います。
シュプール・リュクス
5号
こちらもターゲット外の私ですが、『シュプール・リュクス』はお気に入りの雑誌なんです。そんなわけで、創刊1周年の5号も興味深く、そして、ちょいちょい嫉妬しつつ(?)読みました。
この「ホテル」にもてなされたい
は、9月1日にオープンした「ザ・ペニンシュラ東京」の本家本元「ザ・ペニンシュラ香港」をはじめとした『シュプール・リュクス』厳選のホテル特集。私がもっとも信頼しているホテル・ジャーナリスト、せきねきょうこさんなどが取材した記事なので、うっとり眺めるだけでなく、読んでためになる特集です。また、「ザ・ペニンシュラ東京」に日本初出店して話題の超超超!スーパージュエラー「グラフ」や「ドゥ グリソゴノ」の紹介も雑誌の後半に掲載されています。見落とさずに、要チェックですよ。
鳥獣戯画、再発見
は、国宝「鳥獣人物戯画絵巻」の謎と魅力に迫る、注目の記事。今、日本古来の絵画が改めて見直されていますが、「NIPPON」そのものを再発見しよう、という流れの一環として、お勉強してみるのも悪くない。『シュプール・リュクス』らしく、「鳥獣人物戯画絵巻」の「かわいさ」に光をあてているのも興味深かったです。
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2007-09-04 | 固定リンク
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