3年前に急逝した不世出の異才「中島らも」。半生をともに生きたベスト・パートナーが語る『らも――中島らもとの三十五年』
あの奇才中の奇才、中島らもさんが亡くなって、早いもので3年が経ちました。泥酔して階段から転げ落ち、意識が戻らぬまま、あの世へ旅立った、らもさん。
洒脱で飄々として、すっとぼけていて、天才的に文章がうまくて、クソマジメかと思えば、始末におえないアルコール依存症でもあり、薬物所持でつかまったことも……。
躁鬱病にも苦しんだらもさんが、命を削って世に出した作品は、『ガダラの豚』も『今夜、すべてのバーで』も『お父さんのバックドロップ』も『明るい悩み相談室』も、ジャンルは全然違うのに、手触りはどれも「中島らも」でした。そんならもさんの亡くなり方は、いかにも「中島らも」らしすぎて、ニュースを聞いた時、思わず泣き笑いをしてしまったことを思い出します。
そんな「中島らも」さんと学生時代に大恋愛で結ばれた、美代子夫人が回顧録『らも――中島らもとの三十五年』を出版しました。これがね、とにかくもう、ガッツーン!とくる衝撃的な1冊でありました。
いや、あの「中島らも」と半生をともにした女性の回顧録だもの、一筋縄ではいかないとは思いました。でも、「一筋縄ではいかない」なんつう、おざなりのレベルではありませぬ。これぞまさしく「壮絶」とか「波瀾万丈」といった言葉を使うにふさわしい、半生であると思いました。
70年代初期の日本を象徴するようなヤングカルチャー――たとえば、村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』の世界に近い、セックス、ドラッグ&ロックンロールな日々のなか、2人は出会います。実家の資産も男性経験も豊富なお嬢さんだった「ミー」こと美代子さんに、ひとめぼれした超進学高校に通う童貞男子、「らもん(当時は「らも」ではなく「らもん」と呼ばれていたそう)」こと中島裕之。今も残る、2人がバーで交わした筆談ノートには、お互い夢中でウキウキした気持ちが、気恥ずかしいほどダイレクトに伝わる文言が躍っています。ところが……。
結婚し、子どもが生まれた後、2人の関係は変わっていきました。ズバリ、らもさんに最初の「他の女」が出来たのです。その人こそ、らもさんとともに劇団、リリパット・アーミーを立ち上げた「ふっこ」こと「わかぎゑふ」さんでした――。
「ふっこ」も加わった三角関係だけでなく、さまざまな男女が2人の間を出たり入ったりする、その後の「らも&ミー」の壮絶な関係については本書を読んでいただくとして、私は「ここまで彼を深く愛し続けたミーさん」に感じ入りました。
めちゃくちゃだけども、芯はマジメで神経質ならもさん、破天荒でファンキーなのに、根は「お嬢」なミーさん。2人ともとても魅力的だから、ストンと恋に落ちるのは、わかる。だけど、才能も恋愛偏差値も凡人の私には、傷つけあいながらお互いを思い続けた愛の形は、複雑すぎて実感しづらいのです。私だったら、ツラすぎて、面倒くさくなって、途中でエイヤッと投げ出してしまいそう……。でも、何があろうと、どんなに傷ついても、2人は決して別れなかった。それほどまでに深く愛し合える相手と出会えたらもさんとミーさんは、壮絶で波瀾万丈とはいえ、幸福だったに違いありません。
私は、学生時代、愛読誌に連載されていた一風変わった広告「啓蒙かまぼこ新聞」で初めて「中島らも」と出会いました。新人編集者として、わかぎゑふさんの生原稿をワープロ(!)で打ち直していたこともあります。だからかな? かまぼこ時代、リリパット時代、その時々の「中島らも」が、どんな状況だったかを本書で知ることができたのも、個人的に感慨深いものがありました。恋仇・わかぎさんの名前が実名で登場するなど、きわどい部分がある本書ですが、読みやすく、心に響く1冊となっています。
『らも――中島らもとの三十五年』(集英社)定価1470円
中島美代子 著
お勧め度 ★★★★★
『らも――中島らもとの三十五年』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=9784087753813
●マガジン見どころ、読みどころ
ノンノ
2007年9月5日号
外に出たとたん、「あっづぅ……」と思わずつぶやいてしまう、うだるような暑さですが、そうこうしているうちに突然、秋の風が吹いてきます。
華スイート派安座間と大人クール派美保の「夏から秋へ +旬服3着でおしゃれチェンジ! 21days×2」
で、スライド着回しを念入りにチェックして、万全の態勢で秋を迎えたいものです。まあ、おばちゃんの私がノンノが提案するようなコーディネートで外に出たら、かなり気まずいムードが漂いますが……。そんな私もマジで参考になったのは、
夏の「ダメージヘア」再生プロジェクト
です。強い紫外線で日々傷めつけているせいか、いつにもまして、髪がバサバサです。わらにもすがる思いでページをめくりました。達人150人の口コミ情報がたっぷりなのも嬉しい、とじ込み別冊でした。
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2007-08-21 | 固定リンク
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