美しい宝石にまつわる古今東西の逸話。良質な宝石の賢い買い方。『21世紀の冷たいジュエリ』&『宝石選びの基礎知識』
まるで宝石のように――。
「美しさ」や「貴重さ」を表現する時、比喩、象徴として「宝石」という言葉がよく使われます。たとえ宝石好きでなかったとしても、宝石が「美しく」「貴重」だという共通認識を皆が持っているのは、人間が古代の昔から「石」の美しさを楽しんだり、身を飾ったり、お守りにしたりして、宝石を大切に扱ってきた歴史があるからでしょう。
「パワーストーン」を信じていない私も、お気に入りのジュエリーを身に着けると、なんだか元気が出てきます。キラキラする石を見ていると楽しいし、ジュエリーを手に入れた時の嬉しい思い出が蘇ってくるからかもしれません。本当の理由はよくわかりませんが、「宝石の持つ力」を感じる瞬間が確かにあるのが、とっても不思議!
宝石が宝石になるためには、途方もなく長い長い、悠久の年月が必要です。
たとえば、ダイヤモンド。宝石の歴史や逸話、特徴がたっぷり紹介されている『21世紀の冷たいジュエリ』によると、「数千年前に地底の岩石に含まれていた炭素が、地球の内部の数千度という高温にあぶられ、計りきれないほどの高圧でぎゅうっとしめつけられて結晶し(中略)火山の爆発などで、地表ちかくまで吹き上げられた」結果出来たダイヤモンドの原石は、紀元前4~5世紀にインドで発見されたのだそう。ただし、ダイヤモンドは非常に硬い鉱物なので、なかなか上手に研磨できず、昔はルビーやエメラルドの美しさに遠く及ばないシロモノであって、さほど珍重されていなかったとか。というわけで、「美しい宝石」としての歴史が長いのはルビーやエメラルド。では、いつ頃からダイヤモンドは美しく研磨されるようになり、人気抜群の宝石となったのか……?
答えは本を読んでいただくとして、『21世紀の冷たいジュエリ』には、そんな興味深いエピソードの数々が36種類の宝石別に詰まっています。「宝石」とひと口で言っても、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、アクアマリン、ガーネット、トルマリン……などなど、いろんな宝石がありますが、お気に入りの石がある人、自分の誕生石について詳しく知りたい人に『21世紀の冷たいジュエリ』は特にお勧め。写真が少ないのが残念ですが、単純に読み物として面白いので、「ワタシ、宝石なんかに興味ないわ~」という方も楽しめると思いますよ。
宝石の写真がもっと見たい! 良質のジュエリーを賢く買いたい! という方は、きれいな写真が豊富で、「石の良し悪しの基準」をしっかり説明してくれる『宝石選びの基礎知識』を合わせてどうぞ。「はじめに」と書かれたしょっぱなから、いきなり改行ミスがあるのが気になりましたが(細かい?)、素晴らしい宝石がたくさん載っているので目の保養になるし、判断基準の説明が明解だから、宝石を買いたい人の強い味方になってくれるはず。上を見たらキリがない宝石だけど、大切なジュエリー、せっかく買うなら、本書のような本を参考にして、買える範囲でできるだけ品質の良い、お気に入りを手に入れたいものです。
ところで、宝石を扱った小説として有名な作品に、約30年前に書かれた、故有吉佐和子さんによる『悪女について』があります。変死した稀代の悪女を知る人々が、彼女に対するそれぞれの印象や見解を語る――。周囲の人々の言葉によって、主人公の人生が浮かび上がっていくという構成は、先日ご紹介した『吉原手引草』と似ていて興味深いですが、『悪女について』も有吉文学の傑作。読み出したら止まらない、上質のエンターテインメント小説です。未読だったら、こちらもお勧め!
『21世紀の冷たいジュエリ』(柏書店松原)定価1700円
岩田裕子 著
お勧め度 ★★★★☆
『21世紀の冷たいジュエリ』を発行している柏書店松原のサイトはこちら。
http://www.kashiwa-books.co.jp/
『宝石選びの基礎知識』(PHP研究所)定価1890円
青木貴彦 監修
お勧め度 ★★★★☆
『宝石選びの基礎知識』を発行しているPHP研究所のサイトはこちら。
http://www.php.co.jp/
★ おまけ本
『悪女について』(新潮文庫)定価740円
「ジュエリー貯金」をしてコツコツ石を集めている中沢。当然のことながら、なかなかお金が貯まらないので、リングに仕立ててもらうまで、かなり時間がかかります……。
左奥:パパラチア・サファイヤ、左前:アレキサンドライト・キャッツアイ、右3つはスピネル。
ちょっぴりマニアックなコレクションかも……。スピネルはリーズナブルですが、色がきれいでギラギラ光る面白い石。最近、徐々に値段が上がってきたそうなので、気になった方は、ムリせず買える今のうちに探してみては?
● マガジン見どころ、読みどころ
リー
2007年9月号
今月の『リー』のパリ特集は、見ごたえ、読みごたえがありました。約20ページの大ボリュームの特集
パリのルールに学ぶ おしゃれの極意
は、モデルの五明祐子さんが一流ブランドや素敵なカフェ&サロン・ド・テ、美術館などを巡る他、おしゃれなパリジェンヌのスナップもたっぷり。旬のパリを多角的に取材していて、この街の奥深い魅力を改めて教えてくれるステキな記事でした。
ゴミのなぞなぞ10
は、環境のため、しっかり実践したいのに、分別法やリサイクルの仕方が案外難しくて挫折しがちな「ゴミの問題」を考える好特集。芸人・森三中のお三方と考えながら、「ゴミに関する悩み」が解消される楽しい構成になっています。
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2007-08-14 | 固定リンク
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