変わる中国。変わらない中国。「中国の今」を生々しく、鮮やかに描くノンフィクション『北京大学てなもんや留学記』
今年の5月に念願の北京旅行をしました。以前から「いつか行こう」と思っていたのですが、その「いつか」が「急いで行かなくちゃ」に変わった理由は、主に2つ。
(1) いよいよ来年に迫った北京オリンピックを前に、無闇とダイナミックに変貌しているらしい北京の街を変貌し終わる前に見ておきたい。
(2)元工場地帯の「798藝術区」のアートシーンが先鋭的でえらいことになっているらしいと聞いたので、ぜひともこの目で確かめたい。
5泊6日と短い滞在でしたが、驚きと納得と親近感と違和感で胸がいっぱいになった、充実した旅となりました。
そんな私が旅行前、旅行後に読んだ「北京及び中国関連本」の中で、もっとも面白く読んだのが、谷崎光さんの『北京大学てなもんや留学記』です。
谷崎さんは、10年ほど前に『中国てなもんや商社』(文春文庫)を著し(映画化もされました)、その後も中国関連本を多数出版。中国貿易商社を経て、中国留学し、現在も北京在住という、いわば「中国のエキスパート」です。本書は、彼女が北京大学留学中に見聞きした、抱腹絶倒(マジで!)のエピソードや中国語習得の苦労を面白おかしく書いた1冊。
谷崎さんは大阪出身だからでしょうか、常にお笑い精神を忘れないもんだから、文章のあちこちで、ボケとツッコミが満載で、私、読みながら何度も「うひゃひゃひゃっ」と笑ってしまいました。
もちろん、ただ面白おかしいだけの本ではありません。「将来、賄賂は受け取りますよ」とビシッと言ってのける、エリート北京大学生や、世界各国からやってくる留学生たちの横顔(欧米人、華僑、自国の重大なミッションを背負っている北朝鮮やパキスタン人)など、さまざまなエピソードから浮かび上がる、中国の複雑怪奇な国内事情と人々のメンタリティや常識に「うーん」と考えさせられます。
昨今、世界的に問題となっている、ニセモノ商品&危険物質入りの食物も、北京在住の谷崎さんによると、実態は「想像しているより、はるかにひどい」らしく……。確かに「ニセモノ商品」は、ものすごくたくさん私も見ました。あれは今すぐなんとかしなくちゃいかんぞ、中国よ。
急激な発展からくる社会のゆがみと5000年の歴史が育んだ習慣が絡まりあい、大いなる「ダブルスタンダード」で今を生きる、大国・中国の悩みは深そうです。
お店の人の接客は無愛想だけど、素顔はおっせかいなほど親切、とはいえ、本当に友達になるのは難しく、友達になっても「反日教育」の成果(?)とも言える発言に、どんより気分になることもある――。日本人から見ると、時に大雑把に見える中国の人々とのおつきあいは、かなり繊細な対応が必要なんだなあ、と思いました。
それでも、彼女は今も北京に暮らし続けています。それだけ、中国が奥の深い、魅力的な国だということでしょう。文句たらたらなのに、中国と中国人を愛してやまない谷崎さんの温かい視線で書かれている本書は、まるで夫婦漫才のごとく。
日中関係が新たなステージに入りつつある今、お隣の国、中国をもっともっと知りたい人にお勧めの1冊です。私は絶対、また行くよー、北京に。
『北京大学てなもんや留学記』(文藝春秋)定価1700円
谷崎光 著
お勧め度 ★★★★☆
『北京大学てなもんや留学記』を発行している文藝春秋のサイトはこちら。
http://www.bunshun.co.jp/
★おまけ
わかりやすい解説でおなじみの池上彰さんの「そうだったのか!」シリーズ。こちらもぜひ、ご一読を。
『そうだったのか!中国』
池上彰 著(集英社)1890円
詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=9784834251296
北京にて。中沢・撮影でございます。
(左上)広い。広すぎる。広いだろうと想像はしていたけれど、想像していたより、もっと広かった「天安門広場」。
(右上)街全体がアートな「798藝術区」。ギャラリーの合間に、ぬぼーっと現れた、巨大「人民服」。街のそこかしこで、こうしたアートに出合います。
(左下)工場跡がそのままギャラリーになっているので、天井は工場時代のまま。「毛主席、我々の心はあなたとともにあります!」ってな意味?
(右下)骨董店で会った、かわいい猫ちゃん。名前は「ミミ」だそう。
● マガジン見どころ、読みどころ
モア
2007年8月号
今週は自分の撮影した写真で場所をとっちゃったので、『モア』最新号のお勧めは駆け足で。
「夏ワンピ★夏コーデ これがホントの最終案内112」「攻めのお金&守りのお金の使い方」の2つが、私は特に面白かったです。駆け足の紹介すぎ? すいません……。
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2007-07-03 | 固定リンク
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このブログでは筆者の実体験を元に、知っていればもっと楽しく、ストレスなく過ごせる最新中国生活情報をご紹介します。 [続きを読む]
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コメント
こんにちは。
いいですね、中国。友達が今、北京に住んでる事もあり、興味を持ちました。いつか遊びに行く予定なので、参考に出来たら良いかも。
今回中沢さんの存在を初めて知り、その他のHPを含め、記事を色々拝見させて頂きました。
他の記事と比べ、それ程考える事なくスラスラと書いている様な印象を受ける記事があり、あ~ひがみって怖い・・・。
中沢さんてどういう人かも何となくわかったし、自分を改めて見つめ直させてもらい、色んな意味で勉強になりました(笑)
投稿: なる | 2007/07/04 12:33:49