江戸・吉原で生きる人々が、それぞれの立場から語る、失踪した花魁の謎。第137回直木賞受賞作『吉原手引草』
3度目の正直、でありました。
歌舞伎や江戸を題材にした小説で知られる松井今朝子さんが、3度目の候補作で、とうとう直木賞を受賞しました。そこで今回は、上質で奥行きのあるエンターテインメント作品を世に送り出してきた松井さんの栄えある直木賞受賞作、『吉原手引草』をご紹介したいと思います。
江戸・吉原で一世を風靡していた花魁、葛城が忽然と行方をくらました謎の事件。この事件の真相を、ある人物が吉原で生きる17人のさまざまな立場、職業の人々に訊ねてまわり、真相に迫っていく――まず、このミステリー仕立ての構成に、いきなりグイッとひきこまれます。また、それぞれの職業についていた人々が、江戸時代、実際に使っていたに違いない、イキのいい江戸言葉も本書の白眉。読者をすんなりと江戸の世界へ、いざないます。
訛りを隠すために使われる、花魁の「アリンス」言葉から、「水道の水で産湯をもらった」と威張るチャキチャキの江戸っ子言葉まで、繊細に書き分けられた江戸言葉で語られる話は、もちろん「葛城はなぜ、行方をくらましたのか」という謎を解く鍵ですが、と同時に、吉原という町の文化や、お江戸でたくましく生き抜く人々の人生をも浮き彫りにします。むしろ本書の読みどころとは、後者のほうかもしれません。
女衒(ぜげん)や妓楼の楼主(おやかた)といったお馴染みの(?)職業から、吉原中に名がとどろくお大尽、見世番、遣手、指切り屋(!)まで、各人の仕事内容や立場がとても興味深く、また各人にとっての「葛城」と「吉原」が語られるにつけ、隔離された遊郭集合地帯「吉原」の「表」と「裏」、「建前」と「本音」、「絢爛」と「悲哀」が明らかになり、胸に迫ります。
仮に江戸文化や吉原について「知識ゼロ」でも、吉原独特のシステムや江戸時代の身分制度が読み進みながら理解できるように巧みに構成されていますから、「時代物は初めてだけど、楽しめるかな?」という方でも安心です。
いつの時代も「男と女の駆け引き」は案外変わらないものだなあ、なんて感慨も覚えましたが、厳然と身分制度があり、「身売り」が普通に行われた江戸の世の常識は、やっぱり今の日本とは違います。そんな時代のなか、花魁・葛城が起こした行動には、鬼気迫るほどの「意地」と「執念」を感じました。
作家になる前は、歌舞伎の世界で活躍していた松井さんですから、衣裳や小物の描写も丹念で、鮮やかな情景が頭に浮かんできます。どっぷりと小説の世界に入り込める作品を読みたい、と思っていた方に、特にお勧めしたいです。
そうそう、それから、安野モヨコさんの花魁物語『さくらん』を以前ご紹介しましたが、『さくらん』愛読者にも、絶対お勧め!ですよ。
『吉原手引草』(幻冬舎)定価1680円
松井今朝子 著
お勧め度 ★★★★★
『吉原手引草』を発行している幻冬舎のサイトはこちら。
http://www.gentosha.co.jp/
★ おまけ本。
『吉原手引草』を堪能して、松井ファンになった方は、過去2回の直木賞候補作も要チェック!
『非道、行ずべからず』(集英社文庫)定価880円
の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087478122
『似せ者』(講談社文庫)定価680円
『似せ者』を発行している講談社のサイトはこちら。
http://www.kodansha.co.jp/
● マガジン見どころ、読みどころ
ノンノ
2007年8月5日号
今年、夏の靴を4足買いました。結果、3足は足が痛くなって、全然履けておりません。ショップで試した時は「履きやすそう!」って思ったんだけどなあ。でも先日、ファッション誌の編集さんと話していたら「靴選びは難しい」とおっしゃっていました。吟味&トライ&エラーですね。さてさて、そんなわけで私が『ノンノ』最新号で、最初に読んだのは、こちら。
「ボリュームパンプス」と「大人バレエ靴」
です。靴の色味も、すっかり秋色だわ~。今年の秋冬はエナメルがトレンドだから、これから買う予定の靴をイメージしつつ、今から買って、フルに使えそうなお買い得の「私の1足」を見つけるのにも、役立ててくださいね。
それから、今号の『ノンノ』にはスペシャルな付録もついています。
ローリーズ・ファーム×ノンノ限定 フラワー・シュシュ
は、黒地に赤いお花がキュートなシュシュ。1冊に1コ、必ずついています。夏のお祭りで、キュートにアップしたヘアにつけたり、腕にクシュクシュっと巻いたり、自分流に楽しんでね。
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2007-07-24 | 固定リンク
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