我々がよく知る「世界史」は半分だけだった!? 清水義範流・超エンタメ歴史読本『疑史世界伝』
作家・清水義範さんは博覧強記(=幅広い読書家で、様々なことをよく覚えていること)&調べ好き。そして、さすが「パスティーシュ」という、既存の作品や作家の文体を模倣して作るパロディ作品を得意とする作家さんだけあって、文章が本当に軽妙洒脱です。ものすごーい量の知識を駆使しているのに、ちょちょいのちょいっと書いたような文章だから(あくまで「ような」ですよ!)、分厚い著作もすいすい読めて、つい笑っちゃう。だから、ちょっと元気が出ないわあ、なんて日に、清水作品で「楽しい気分」をチャージしていただきたいな、と思います。
なかでも、私が今、猛烈プッシュしたい作品が『疑史世界伝』。うわははは、と笑いながら読んで、「あ、そうか、なるほど」と考えさせられる物語がズラリです。
以前、日本史を題材にした『偽史日本伝』(タイトルからして「魏志倭人伝」拝借してますねぇ)という、定説というか常識となっている「歴史」を疑ってかかった“ひっくりかえ史”(清水さん的表現です!)短編小説を出版している清水さん。邪馬台国は日本中にたくさんあったとか、弁慶=義経だった!とか。驚きの展開の連続で愛読者多数の作品ですが、今回はその世界史バージョンなのであります。
でも、出版社からの「日本史に続き、あっと驚く世界史びっくり物語を」という誘いに対し、最初、清水さんは気が進まなかったんだそう。なのに一転、書く気満々になった理由をこう書いていらっしゃいます。
(1)私が世界史をあまり知らない、(2)日本人は世界史をあまり知らないから、仮にあきれ返った逆転の世界史を書いたとしても、どう面白いのかわからないであろう。だから、びっくり世界史小説はうまく書けない、と私は考えていた。(中略。ここ10年、イスラムの国に興味を持ち、10カ国ほど訪れた結果)驚いたのは、こんな歴史はこれまでに一度も習ったことがない、という事実であった。
つまり、我々日本人が普通学んでいる世界史とは、実はヨーロッパから見た世界史だったんだ、と気づいたんである。あの世界史は実は、世界史の半分らしいのである。(『疑史世界伝』「あとがき」p384より)
目からウロコの「発見」だと思いませんか? もちろん、専門家は「もう半分の世界史」をよくご存知でしょうが、私が学校で習った世界史は確かにヨーロッパ寄りだったし、おそらく、それが一般的な「常識」でした。よく考えると、ちょっと不公平よね。だから、「疑ってかかる」作業をしてもバチは当たらないだろうし、「もう半分の世界史」について考えてみることは「今の世界」を見直すきっかけにもなるはずです。
実は体育会系だった(?)哲学者、ソクラテスの軍人像を描いた「戦場のソクラテス」、イスラム教徒側から見た十字軍遠征の話「フランクが来た」、中国三千年以上の歴史を早送りで振り返った「あわただ史記(前・後編)」など、世界史を専攻しなかった人も楽しめる物語がぎっしり詰まっています。清水さんらしく、限りあるタイトな文字数なのに、やたら話が脱線しちゃうのも楽しかった!
私が特に面白かったのは「あわただ史記」。文字通り、あわただしくコンパクトにたどる中国史を読みながら、遠い昔に勉強した時、めまぐるしく変わる国名や権力者の名前を覚えるのに苦労したなあ、と思い出したし、漢族からモンゴル族まで、いろんな民族が覇権を争ってきた中国は、やっぱり広いなあと、つくづく思ったり。とはいえ、めまぐるしく変わる王朝が衰退していく過程は、案外、どの国も似たりよったりな感じ。「栄枯盛衰」「歴史は繰り返す」なんて言葉を思い浮かべてしまいました。
『疑史世界伝』(集英社)定価1890円
清水義範 著
お勧め度 ★★★★☆
『疑史世界伝』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=9784087748604
おまけ。
『偽史日本伝』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087472507
● マガジン見どころ、読みどころ
バイラ
2007年7月号
カジュアル服は、かっちりした服よりも、その人のセンスが如実に出ます。抜け感と旬のサジ加減が大切ですもんね。だからこの夏、おしゃれにカジュアルを極めたい方は、
ザ・辻カジ!!
をチェックしてね。超人気スタイリストの辻直子さん流のコーディネート術です。辻さんの、ほんのりフェミニンなやさしいカジュアル術を大人の女子がマスターできたら、素敵な夏を過ごせそう。
スパルタ・ワンピース塾
は、大ブーム中のワンピースをマンネリに着ないためのスパルタ塾。プリント、レース、シャツの3種類のワンピが1着ずつあれば、新鮮に着倒せる!という提案特集です。
下の「コメント」をクリックして、人名欄はペンネームを、URL欄は不要、コメント欄にご意見を書き込んで「投稿」をクリックしてください。
トラックバックについて詳しくお知りになりたい方は、「トラックバックについて」をクリックしてご確認ください。
2007-06-19 | 固定リンク
トラックバック
このページのトラックバックURL:
http://www.typepad.jp/t/trackback/160820/7015969
このページへのトラックバック一覧 我々がよく知る「世界史」は半分だけだった!? 清水義範流・超エンタメ歴史読本『疑史世界伝』:
» 芸能 エンタメ ニュース トラックバック 芸能 エンタメ ニュース
芸能 エンタメ ニュース [続きを読む]
トラックバック送信日 2007/06/20 16:56:01
コメントを投稿
*投稿された内容の修正、削除の依頼は一切応じられませんので、投稿される前に十分にご確認ください。
*「投稿」ボタンは1度だけ押してください。

コメント