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[本&雑誌&マンガ]-ライター中沢明子がナビゲート!- BOOK&MAGAZINE クルージング

[本&雑誌&マンガ]-ライター中沢明子がナビゲート!- BOOK&MAGAZINE クルージング

中沢明子
ライター。1969年東京都生まれ。インタビューやルポルタージュを手がけたり、書評を書いたり、近所の猫にちょっかい出したり。毎日、必ずどこかの本屋に出没し、いつも重い荷物を持っている。雑誌好きとしても局地的に有名で、週刊誌AERAにて「マガジン百名山」連載中。

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服を着る。服を売る。自分を生きる。百貨店を舞台に、懸命に前進する主人公を描いた『Real Clothes~リアル・クローズ』

Book062601 槇村さとるさんの最新作『Real Clothes~リアル・クローズ』。現在雑誌『YOU』で大好評連載中ですが、つい先日、コミックスの第2巻が発売されました。実は私、連載当初から「おおっ」と注目していた作品であります。
というのも、作品の舞台が「百貨店の婦人服売り場」なんです。ね、これを聞いただけで面白そうでしょう? 私は相当な百貨店大好き人間なので、舞台裏を知りたかったし、ファッション好きの槇村さんだから、細部にわたり、リアリティがある。期待以上に面白いです。

入社5年目の天野絹江(27歳)は、新宿に店を構える「越前屋」社員で、「ふとん売り場」で働いています。安眠、快眠を願うお客のリクエストや悩みをじっくり聞き、押し売りすることなく、丁寧な接客でしっかり売り上げを伸ばす模範的社員。売り場全体がなかなか一体になれないのが悩みの種ですが、ふとん売り場で働くことが好きな絹江には、異動の希望はありません。
しかし、ある日、そんな絹江に突然の異動命令が下ります。異動先は「営業3部 婦人服」。花形部署で、社内のエリートコースとされている部署です。けれども、絹江はちっとも嬉しくない。なぜなら、絹江は洋服に興味がなく、「ファッションなんて、人間の表皮一枚のもの」と思っていたから。そうはいっても、マジメな絹江のこと、「よし、売るぞ!」という強い決意と「一から教えてもらおう」という謙虚な気持ちで、新しい部署に向かうのですが……。
異動先の婦人服売り場は、想像以上に厳しい場所でした。「モードババア」の異名をとる神保部長、やたらハッキリとダメ出しする(でも、正論……)美しき女性契約社員・凌さん、絹江を「小太りのおサルさん」呼ばわりしたカリスマバイヤー、田渕優作王子――。絹江は空回りするばかり。
一方、プライベートでは、長い付き合いの恋人、達也との「結婚」もチラチラし始めますが、すんなりと結婚する気になれなくて……。

ファッションなんか、と思っていた絹江が、モードを愛し、モードに生きる人々と出会い、地味でファッショナブルじゃない自分だからこそできる「服の売り方」を発見していく。その鮮やかで前向きな変身が見どころですが、27歳という微妙なお年頃の女性が、「女の幸せ」と「第一線で働き続けること」の両立に悩む姿もまた、とてもリアル。共感して、ちょっと泣けちゃう女子も多いんじゃないかな。
「人間は見た目が全てではないと思います」と食ってかかる絹江に、田渕がこう言い放つ場面があります。「中身があやふやな人間に限って、そう言う」。
うはっ。き、きびち~~~!! でも、ホントだなー、言えてるかも。

「越前屋」のモデルは、描かれた内装から、また「ファッションの伊勢丹」と言われることから、おそらく「新宿伊勢丹」でしょう。もちろん、あくまでフィクションですから、「越前屋=新宿伊勢丹」では絶対にないけれど、伊勢丹を思い浮かべたりしながら読むのも、きっと楽しいですよ。

『Real Clothes~リアル・クローズ(1)~(2)』(集英社)定価各420円
槇村さとる 著

お勧め度 ★★★★☆

『Real Clothes~リアル・クローズ』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-865395-2&mode=1

Book062603 ● マガジン見どころ、読みどころ

ノンノ
2007年13号(6/20売)号

ファッション誌を見て、「いいなあ」とコーディネートをマネしたら、あっちゃー、な感じになった経験、誰にでもあるはず、よね!? 私は数限りなく、あります。結構、長いこと生きている上に、お調子者ですから。しかし、
「美保レイヤード」で、この夏のおしゃれは完璧!
をチェックすれば、お若いあなたは心配ご無用。田中美保ちゃんが着たいろいろな「レイヤードスタイル」を読者が上手に取り入れる方法が、親切&リアルに提案されています。お悩み別で「パンツをアレンジ」「パーカを(ノースリーブから半袖に)チェンジ」など、具体的アドバイス。読者代表が実践していたけれど、みーんな、かわいくなっていましたよ。
とじ込み別冊 夏ヘアアレンジ
も要チェックです。海、花火大会、バイトと、イベント目白押しの夏だから、さまざまな場面でかわいくなれるヘアアレンジテクは必須。ふんわり感を大切に、『ノンノ』でアレンジテクをマスターしてね。

 
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2007-06-26 | 固定リンク | コメント (0)

我々がよく知る「世界史」は半分だけだった!?  清水義範流・超エンタメ歴史読本『疑史世界伝』

Book061901作家・清水義範さんは博覧強記(=幅広い読書家で、様々なことをよく覚えていること)&調べ好き。そして、さすが「パスティーシュ」という、既存の作品や作家の文体を模倣して作るパロディ作品を得意とする作家さんだけあって、文章が本当に軽妙洒脱です。ものすごーい量の知識を駆使しているのに、ちょちょいのちょいっと書いたような文章だから(あくまで「ような」ですよ!)、分厚い著作もすいすい読めて、つい笑っちゃう。だから、ちょっと元気が出ないわあ、なんて日に、清水作品で「楽しい気分」をチャージしていただきたいな、と思います。

なかでも、私が今、猛烈プッシュしたい作品が『疑史世界伝』。うわははは、と笑いながら読んで、「あ、そうか、なるほど」と考えさせられる物語がズラリです。
以前、日本史を題材にした『偽史日本伝』(タイトルからして「魏志倭人伝」拝借してますねぇ)という、定説というか常識となっている「歴史」を疑ってかかった“ひっくりかえ史”(清水さん的表現です!)短編小説を出版している清水さん。邪馬台国は日本中にたくさんあったとか、弁慶=義経だった!とか。驚きの展開の連続で愛読者多数の作品ですが、今回はその世界史バージョンなのであります。
でも、出版社からの「日本史に続き、あっと驚く世界史びっくり物語を」という誘いに対し、最初、清水さんは気が進まなかったんだそう。なのに一転、書く気満々になった理由をこう書いていらっしゃいます。
(1)私が世界史をあまり知らない、(2)日本人は世界史をあまり知らないから、仮にあきれ返った逆転の世界史を書いたとしても、どう面白いのかわからないであろう。だから、びっくり世界史小説はうまく書けない、と私は考えていた。(中略。ここ10年、イスラムの国に興味を持ち、10カ国ほど訪れた結果)驚いたのは、こんな歴史はこれまでに一度も習ったことがない、という事実であった。
 つまり、我々日本人が普通学んでいる世界史とは、実はヨーロッパから見た世界史だったんだ、と気づいたんである。あの世界史は実は、世界史の半分らしいのである。(『疑史世界伝』「あとがき」p384より)

目からウロコの「発見」だと思いませんか? もちろん、専門家は「もう半分の世界史」をよくご存知でしょうが、私が学校で習った世界史は確かにヨーロッパ寄りだったし、おそらく、それが一般的な「常識」でした。よく考えると、ちょっと不公平よね。だから、「疑ってかかる」作業をしてもバチは当たらないだろうし、「もう半分の世界史」について考えてみることは「今の世界」を見直すきっかけにもなるはずです。

実は体育会系だった(?)哲学者、ソクラテスの軍人像を描いた「戦場のソクラテス」、イスラム教徒側から見た十字軍遠征の話「フランクが来た」、中国三千年以上の歴史を早送りで振り返った「あわただ史記(前・後編)」など、世界史を専攻しなかった人も楽しめる物語がぎっしり詰まっています。清水さんらしく、限りあるタイトな文字数なのに、やたら話が脱線しちゃうのも楽しかった!
私が特に面白かったのは「あわただ史記」。文字通り、あわただしくコンパクトにたどる中国史を読みながら、遠い昔に勉強した時、めまぐるしく変わる国名や権力者の名前を覚えるのに苦労したなあ、と思い出したし、漢族からモンゴル族まで、いろんな民族が覇権を争ってきた中国は、やっぱり広いなあと、つくづく思ったり。とはいえ、めまぐるしく変わる王朝が衰退していく過程は、案外、どの国も似たりよったりな感じ。「栄枯盛衰」「歴史は繰り返す」なんて言葉を思い浮かべてしまいました。

『疑史世界伝』(集英社)定価1890円
清水義範 著
お勧め度 ★★★★☆

『疑史世界伝』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=9784087748604

おまけ。
『偽史日本伝』の詳細はこちらへ。ご購入もしていただけます。

http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087472507

Book061902_2 ● マガジン見どころ、読みどころ

バイラ
2007年7月号

カジュアル服は、かっちりした服よりも、その人のセンスが如実に出ます。抜け感と旬のサジ加減が大切ですもんね。だからこの夏、おしゃれにカジュアルを極めたい方は、
ザ・辻カジ!!
をチェックしてね。超人気スタイリストの辻直子さん流のコーディネート術です。辻さんの、ほんのりフェミニンなやさしいカジュアル術を大人の女子がマスターできたら、素敵な夏を過ごせそう。
スパルタ・ワンピース塾
は、大ブーム中のワンピースをマンネリに着ないためのスパルタ塾。プリント、レース、シャツの3種類のワンピが1着ずつあれば、新鮮に着倒せる!という提案特集です。

 
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2007-06-19 | 固定リンク | コメント (0)

「オンナらしさ」の正体とは何か。心理学者・小倉千加子さんがわかりやすく教え、知恵を授ける『オンナらしさ入門(笑)』

Books061201_2 “中学生以上すべての人の”がキャッチフレーズの「よりみちパン!セ」というシリーズ本があります。「100%オレンジ/及川賢治」さんのイラストレーションがかわいく、文字も少なめで読みやすいのだけど、人生においてすごく大切なのに「学校でも家でも教えない」ことを「寄り道」して考えようという、異色の好シリーズです。中学生時代ははるか彼方に過ぎ去った私も何冊か買い求め、そのたびに新しい発見があったのですが、今回はその中でも特に「!」な発見をした1冊、心理学者の小倉千加子さんが著した『オンナらしさ入門(笑)』をご紹介したいと思います。

オンナらしさ――。
このやっかいなシロモノに悩まされてきた女子は多いと思います。
というか、女子である以上、1人残らず、このやっかいな「オンナらしさ」というものに、必ず向き合っている/きた、はずです。世間の期待どおりにすくすくと(?)オンナらしく生きてきた人も、「男勝り」に反発して生きてきた人も、世間基準の「オンナらしさ」との距離とメリット・デメリットをはかりながら、自分の生き方、スタンスを選んでいると思います。
小倉さんは「マザーグース」の表現を借りて、こういいます。「女の子って何でできてる?」という質問の答えは「お砂糖とスパイスと、素敵ないろいろでできている」のである(らしい)、と。そして、「誰がそう決めて」「私は誰にとっての“甘い”ものなのか」を説いていき、お砂糖と素敵ないろいろなものでできている「女の子」なのに、意外や意外、スパイスのほうが効いているのか、女の子から女性になるまでの道のりは「イバラの道」のように生きがたい、というリアルな現実を突きつけます。

イバラの道を(ほとんど自分でも気づかないほど)上手に進んできた人もいるし、非常に強く意識した結果、オンナらしくあろうとガムシャラに努力して進んできた人もいるし、意識しすぎて、あえて外して生きている人もいる(「オンナらしくない」趣味を持つとか、逆に「ゴスロリ」のように過剰に甘くしてパンキッシュに自分を表現するとか)。
いずれにせよ、女子はみんな等しく「自分が人からどう見られるか」「自分は女の子にふさわしく、(見た目も行動も)可愛くあるか」を意識して生きざるをえない性であって、男子のように無邪気に、そしてわかりやすく「勝ち負け」で成り立つ(?)生き物ではない、ということです。

「オンナらしさ」は複雑です。例えば、一見オンナらしいけれど、ものすごくデキる女子のことを、男子が好きかどうかは微妙です。面白いギャグを飛ばしまくる女子は「恋人」ではなく「友達」になりがちです。それほど美人でない女子は、精一杯「オンナらしく」いなければ、なかなか振り向いてもらえません。男子ならそれほどハンサムではなくても、個性で結構イケるのに。男子に「オンナらしい」と思われるような「オンナらしさ」を持った女子でないと、女子人生、ちょっと損する気がします。
とはいえ、「オンナらしくない自分」を殺して「オンナらしく」あったからといって、必ずしも、その行き先に幸せが待っているとも限りません。オンナらしくふるまってきたかいがあり、白馬の王子様が現れる、なんてことは滅多にありません。
ということは、人生の悩みどころである「結婚」を「オンナらしさ」でなんとか手中に収めても、その先の人生がバラ色とは限らない、ということ。

あなたにすら分からないあなたの幸せを、どうして結婚相手が知っているのでしょう。「あなたを幸せにします」というような人は、あなたの幸せを勘違いしています。
あなたを幸せにできるのは、あなた自身なのです。
(『オンナらしさ入門(笑)』p134)より)

では、結婚するにしろ、しないにしろ、自分が自分になるために、自分が自分を幸せにできるために、できることとは何だろう? 
その点について、小倉さんは、自分で自分を育てていけるように「自分に水をやる」作業をできるようになることが大切だ、とハッパをかけます。その作業とは「自分だけの好き」を見つける作業です。そして、もしも、今まで生きてきた中で「オンナらしくないから」と排除してしまった「好き」があるなら、あるいは、今まさに「女の子には、無理」と諦めかけている「好き」があるなら、その眠れる「好き」を発掘せよ、と奨めます。

「オンナらしい」科目の象徴である「国語」だけが成績が良かったのに、「オンナらしく」あることから下りて生きてきた(と思っている)自分こそ、「オンナらしさ」というものを人一倍、強く意識してきたのかもしれないな、と発見をした私。驚愕です。
女子という女子、全てに一読していただきたい、興味深い1冊でした。
それにしても、「オンナらしさ入門」に「(笑)」をつけた書名がすごいな。軽やかで鋭い小倉先生のセンスに脱帽です。

『オンナらしさ入門(笑)』(理論社)定価1260円
小倉千加子 著
お勧め度 
★★★★☆

『オンナらしさ入門(笑)』を発行している理論社のサイトはこちら。
http://www.rironsha.co.jp/index.html

Books061202 ● マガジン見どころ、読みどころ

LEE
2007年7月号

つい先日、第1子の妊娠を発表したばかりの渡辺満里奈さんが表紙です。音楽や台湾、ピラティスなど、まさに「自分の好き」を追求してきた満里奈さんも、幸せを自分でつかんできた魅力的な女性ですね。さて、今月号の『LEE』で私がまず注目したのは、
休日は美術館へ~雨宮塔子さんと訪ねる 瀬戸内・直島アートの旅
です。そういえば、雨宮さんも「自分の好き」を追求してきた女性だなあ。「泊まれる美術館」として注目されている「ベネッセハウス」をはじめ、瀬戸内の魅力的な美術館やおいしいお店が紹介されています。ベネッセハウス、私もすごく行ってみたい場所なので、記事に釘付けでした。そのほか、全国の注目美術館情報も載っています。まずは、お近くの美術館にレッツゴー、なのだ。

今一番食べたい お取り寄せ100
は、自分用にもお中元用にも良さそうな、素敵なお取り寄せ情報がぎっしり。井上絵美さん、平松洋子さん、渡辺有子さんなど、料理に造詣が深い皆さんが教えてくれるのは、さすがの品ばかり。保存版ですよん。

 
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2007-06-12 | 固定リンク | コメント (0)

まさに「瑞々しい」という言葉がピッタリの処女作! タイ人作家による、とてつもなく美しい小説『観光』

060501_5 ワクワクする本、感動する本、深く考えさせられた本、おバカに笑える本。本との出合いは、いつだって、感謝です。でも、その中でも「ああ、この本と出合えて本当に良かったなあ」と、たっぷりと余韻にひたり、出合いに特別に感謝せずにいられない本というのがあります。今回ご紹介したいのは、そんなスペシャルな余韻にひたれた本。最近出合えた本の中でも、とびっきりのおすすめ!です。

『観光』と名づけられた、その作品の作者はタイ人のラッタウット・ラープチャルーンサップさん。「誰それ?」と思った方がほとんどだと思います。もちろん、私もこの作品に出合うまで知りませんでした。それもそのはず、実は『観光』はラッタウットさんのデビュー作。しかし、これが処女作とはとても信じられないほど、うまいんですねぇ。と同時に、処女作ならではの瑞々しさ、瞬間の煌めきに満ちているという、なんとも魅力的な短篇集でありました。

『観光』に収められた7つの短篇の舞台は、全てタイ。繊細な筆致で描かれる風景や出来事は、決して甘いものではありません。むしろ、客観的に見ると、厳しい状況にある人々の現実が浮かび上がってきて、胸がチクチクと痛みます。

7篇のトップを飾る「ガイジン」は、軍隊にいたらしいアメリカ人の父とタイ人の母の間に生まれた「ぼく」が主人公。父はとっくの昔にアメリカに戻ったきり。母は父の話が大嫌いです。つまり、彼は無責任な父にトンズラされてしまった混血児なのです。混血、と書くのは、ちょっと躊躇してしまうけれど、ここはこの物語の重要なポイントなので、あえて書きました。そんな彼が惹かれるのは、なぜかいつでも「アメリカ人の娘」です。「ガイジン」相手の商売で暮らす観光地であるけれど、「ガイジン」を辛らつな目で見ている現地の人々からすれば、「ぼく」の恋愛志向はいぶかしく、不毛としか思えませんが、どうしようもなく彼は「アメリカ人の娘」に惹かれてしまうのです。例え彼女たちにとっては、旅先の火遊びであっても……。その彼が物語の最後に起こしたアクションは意外なものでした。

その他、怪しくいかがわしい酒場で、兄の真似をして必死に大人になろうとする少年を描く「カフェ・ラブリーで」、失明寸前の母を残し、遠い場所にある大学へ通う決心をした息子と母の愛情あふれる交流に胸がいっぱいになる表題作「観光」など、珠玉の短篇がぎっしり詰まっています。

傷つくために恋をしているような少年のナイーブさ、ショッキングとも言えるタイの人々の本音とたくましさと強い絆。南国特有の熱気と、ひんやりと冷めた視線が渾然一体となった7つの物語は、異国が舞台なのに、なぜかとてもリアルに感情が共有できて、不思議な余韻が残ります。そして、ちょっとだけ胸がチクリとするけれど、最後は温かい気持ちに包まれます。
でも、人生って、きっとそういうもの。胸がチクッとしたり、温かい気持ちでいっぱいになったり、辛らつな見方をしたり、されたり。いろいろあって、人生です。それはやっぱり、世界共通なのかもね。

1979年、アメリカ・シカゴで生まれ、育ったのはタイのバンコクというラッタウットさん。アメリカの大学で学び、本作でデビューしたのは2005年です。いつもは辛口な各新聞の書評でも激賞され、一躍、注目の人となったそう。現在はイギリスに留学中で、次作を執筆中とか。本当に次の作品がまちどおしいな。2作目が本作以上に素晴らしい作品だったら、世界的な作家として揺るぎない評価を獲得することでしょう。だからぜひ、今のうちに『観光』に出合っておいてくださいね。
それと、作品にふさわしい良訳に恵まれたことも、日本語版『観光』の幸福な点だと思いました。

『観光』(早川書房)定価1890円
ラッタウット・ラープチャルーンサップ 著
古屋美登里 訳

お勧め度 ★★★★★、もひとつおまけに★3つ!

『観光』を発行している早川書房のサイトはこちら。
http://www.hayakawa-online.co.jp/

060502_3

●マガジン見どころ、読みどころ

モア
2007年7月号

パチパチパチ。『モア』が30周年を迎えました。これを記念して7月号には、
MORE×ポール&ジョー マチ付きランチタイムトート
がもれなくついています。付録とは思えぬ出来栄えだから、きっと重宝するはず。
夏こそ本気でおしゃれな「安リッチ」服!
は、ボリュームたっぷりの大特集。かわいいのに、超お買い得な服や小物がずらり。こんなにリーズナブルなアイテムが揃うのは、夏ならではのお楽しみよね♪ 夏が本番を迎える前に気軽に買い足せちゃう。私がびっくりしたのは、1995円という、とんでもなく「安リッチ」なサンダル。もはやこれは、価格破壊です!

060503_3 シュプール リュクス
2007年 夏号

早くも4号目を迎えた『シュプール リュクス』。毎号テーマを掲げていますが、今回のテーマは「SPARKLE」。煌めきです。でもって、ジュエリー好きの私としては、「煌めき」といえば、とにもかくにも、まず宝石なのだ。だから、
ジュエリー イズ マイ ライフ
をはじめ、いろいろあったジュエリーテーマに釘付けになりました。特に目が釘付けになったのは、「私の「偏愛」宝石箱、公開!」に掲載されていた、アートコレクター、森川千賀子さんのエメラルドのリング。というのも、あるサイトでこのリングを見つけクラクラし、「こ、こ、これはすごい! どんな人が買うんだろう?」と思っていたからなんです。森川さんが買ったんですね。うーん、超ド級にキレイだわ。そして、おいくらだったのかしら!? 
さあ、アイランド・バカンスへ!
は、ラグジュアリーなバハマ・バカンスの提案です。青い海、そよぐ風、降り注ぐ太陽。バハマの小さな島で暮らす、英国貴族出身のモデル、インディア・ヒックスの豊かなナチュラル・ライフを紹介し、バハマの魅力を伝えてくれています。憧れちゃうなあ。今、自分的には結構思い切った、でも、とっても庶民的な「アイランド・バカンス計画」を立てている私は、その憧れの旅との差を改めて痛感して、ちょびっと、しょんぼり。それはそれとして、もしラグジュアリーなご旅行を予定しているあなたなら、
ファーストクラスの旅支度
のページも忘れずにチェックを。いやもう、とってもスタイリッシュでラブリーな旅支度でありました。

 
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2007-06-05 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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