アメリカの現役フライトアテンダントによる、オール実話の仰天エピソードが満載『機上の奇人たち』
たまーに飛行機に乗る予定があると、たいてい前日に「機上で読む本」を決めて機内持ち込み用バッグに入れる私なのですが、先日は、バタバタしていて、うっかりその作業を忘れてしまいました。それで、成田空港の本屋さんで何冊か本を買ったのですが、成田でこその「見っけもん」がありました。それが『機上の奇人たち』という抱腹絶倒のエッセイ本です。
気軽に読もうと気軽に買った本で、実際、気軽に読めたんだけど、ブラックな笑いに満ちた、ちょっとヒネりの効いた面白さが個性的な一冊だったので、ご紹介しますね。
作者はこの本を書いた時点で、フライトアテンダント歴16年だった、エリオット・ヘスター。彼が見聞きしてきた、“高度3万フィートの密室”である飛行機の中で起きた、信じがたいエピソードの数々は、本当にもう、信じがたいものばかりなんです。
たとえば、ラザニアを3人分食べた乗客が嘔吐したのを目撃してしまった、ゆうに20人以上(!)の他の乗客が次々と嘔吐したという(ううう、気持ち悪い…)“嘔吐の連鎖反応”事件をはじめ、蛇や蛸を連れて乗り込んできた客、カートの上で脱糞した酔っ払い、けんかっぱやいフライトアテンダント、乗降地のホテルで乱痴気騒ぎする乗務員たち……。いやはや、事実は小説より奇なり。
これ以上は、読む楽しみを奪ってしまうので紹介するのは自制しますが、こんなトンデモ状況をエリオットはいたってクールに見つめ、エッセイに仕立てています。彼の場合、本当に「空の旅」が好きなようで、休日も乗客として飛行機に乗っているそうだから、エピソードの数も膨大で、エッセイのネタには事欠かない様子。彼は今でも現役で、次の作品用のトンデモ事件を着々と見聞きしているらしいです。
ネタとなる素材そのものが面白おかしいことは言うまでもないけれど、やっぱりエリオットの、ちょい自虐的な表現が入った皮肉交じりの文章こそ、読みどころでしょう。こうしたテイストのエッセイは、なかなか日本人には書けないかもなあ、と思いました。
基本的にずっとふざけているエリオットですが、時折、チラリと本音が見えるのも見逃せません。たとえば、ファーストクラスや座席番号を廃止して全部自由席にして“3万フィート上空の共産主義”にしたほうが、商売としてはともかく、問題は少なくてすむだろうなんて意見をサラリと書いていましたよ。
ところで、唐突ですが、私はエリオットの文章を読みながら、俳優のヒュー・グラントを思い出しました。彼は、グッドルッキンなのに、いつもふざけていて、自虐的な受け答えをする“皮肉屋さん”として有名ですが、やっぱり時折、ハッとする「本音」を交えるんですよね。あんな感じのテイスト、と言えば、分かっていただける方もいるかな?
航空会社の裏話もふんだんなので、フライト予定のある方は、ぜひこの本をゲットしてから搭乗してください。楽しく読み終わった後は、機内をキョロキョロと観察するのも楽しくなると思います。
『機上の奇人たち―フライトアテンダント爆笑告白記』(文春文庫)定価700円
エリオット・へスター 著
小林浩子 訳
お勧め度 ★★★★★
『機上の奇人たち―フライトアテンダント爆笑告白記』を発行している文藝春秋のサイトはこちら。
http://www.bunshun.co.jp/
下の「コメント」をクリックして、人名欄はペンネームを、URL欄は不要、コメント欄にご意見を書き込んで「投稿」をクリックしてください。
トラックバックについて詳しくお知りになりたい方は、「トラックバックについて」をクリックしてご確認ください。
2006-10-17 | 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。

コメント
こんにちわ、いつも楽しく拝見させていただいております☆
『機上の奇人たち』買っちゃいました(^▽^)
中沢さんのオススメ文を読んで居ても立っても
居られなくなり、仕事後本屋に直行!!
早速購入し、帰宅電車の中で一気に半分くらい読みました♪
面白いです!!とっても!!(笑)
素敵な本を紹介してくださって
ありがとうございます(^ー^)☆
ちょうど今、第3章あたりです。
早速続きを読みたいと思います!!
これからも面白い本のオススメ期待していますね♪
私も飛行機の中で様々な体験を
投稿: tabiflog | 2006/10/25 12:44:02
tabiflog さん、こんにちは!
うれしいコメント、どうもありがとうです。
先週は私も「機上の人」になっていたため、
お礼が遅れてごめんなさい。
ねねね? この本、面白いでしょ??
またこのブログに遊びにいらしてくださいね。
待ってます。
投稿: 中沢明子 | 2006/10/28 10:29:57