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[本&雑誌&マンガ]-ライター中沢明子がナビゲート!- BOOK&MAGAZINE クルージング

[本&雑誌&マンガ]-ライター中沢明子がナビゲート!- BOOK&MAGAZINE クルージング

中沢明子
ライター。1969年東京都生まれ。インタビューやルポルタージュを手がけたり、書評を書いたり、近所の猫にちょっかい出したり。毎日、必ずどこかの本屋に出没し、いつも重い荷物を持っている。雑誌好きとしても局地的に有名で、週刊誌AERAにて「マガジン百名山」連載中。

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難病を抱えて生まれた娘と生きる。愛情あふれるドキュメント『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい――ミトコンドリア病の子と生きる』

Book0801 いきなりですが、正直に言います。私は“難病や障害と闘う”内容の本が苦手です。
理由はいくつかあります。気の毒で胸がつぶれそうになりながら、「気の毒」と感じること自体、不遜じゃないか!と思うから。その半面、どす黒い性格の別の私が耳元でささやく、「感動をおしつけられてもさー、困っちゃうんだよねぇ、しょせん、他人事だし」という、超・人でなしの感想にゾッとするから――などなど。
時には、募金とかしちゃったりもするくせに、後者が自分の本当の感想なんじゃないか、と思うと、気が滅入ってしまい、どうも“難病や障害と闘う”内容の本は、私にとって、アンタッチャブルな領域の本なのであります。

なのに、今回ご紹介する本『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい――ミトコンドリア病の子と生きる』は、バリバリ、“難病や障害と闘う”内容の本なんです。そして、これが意外にも、心から「読んで良かったなあ」と思った本でした。というのも、著者・堀切和雅さんの文章は、正直で、ユーモアがあって、感動をおしつけられた気がしないんです。だからこそ、堀切家の喜びや哀しみがリアルに浮き上がってきて、自分の気持ちが――不遜を承知で書くけれど――堀切さんと共にあるような、そんな気がしました。

著者の堀切和雅さんのお嬢さん、響ちゃん(なんて、ステキな名前!)が、生まれつき罹ってしまった「ミトコンドリア病」を、ものすごーくざっくり説明すると、エネルギーを作り出す働きをする細胞の異常によって、脳の働きに影響があったり、歩くのが困難だったり、麻痺が起こったりする病気で、哀しいことに、あまり長生きはできない疾患なんだそうです。そして、残念ながら、まだ完治する治療法も見つかっていません。20万人に1人の珍しい病気で、そのうえ、響ちゃんと同じ症例は世界に3例(!)しかないそう。もちろん、私もこの本を読んで初めて知った病気でした。

堀切さんは、拍子抜けするほど正直に、娘が「普通とは違う」ことを信じようとしなかったことを明かしています。しかし、その一方で、「なんだかおかしい」という疑念は拭えず、インターネットや文献で、むちゃくちゃ調べまくり、「もしや、この病気では、いや、まさか」と不安でいっぱいに。堀切さんご夫婦の揺れ動く心が、あまりにも正直に描かれていて、思わず胸を衝かれます。結局、堀切さんの不安は的中し、病名もその「まさか」を告知されてしまうわけですが・・・・。

「中間色の分かるシックな赤ん坊に育てよう」といった「呑気な計画」や、夫婦共働き継続計画など、あっけなくふっとんだ堀切家。好奇心旺盛な響ちゃんが、一秒でも長く楽しい人生を送れるよう、ひとつでも多く新しい体験が出来るよう、愛と笑顔に満ちた「今日という一日」を、文字通り、大切に紡いでいくという、予想もしていなかった家族のタスクと向き合うことになった日々が、本書には鮮やかに描かれています。

現在、4歳になった響ちゃん。絶対ムリだと思われていたのに、彼女は言葉を発し、自力で歩くこともあるそうです。なんと、プールにも入れちゃって、かなり楽しかったみたい。人間の可能性に「絶対ムリ」はないのだ、と改めて教えられる思いです。
堀切さんは、決して、感動をおしつけたりはしないけれど、響ちゃんが「小さいけれど、大きな一歩」を踏み出すたび感じる喜びも、波のように折に触れて訪れる哀しみも、両方、そのまま正直に記されている本書には、やっぱり胸を打たれてしまいました。

あとね、とにかく、まあ、響ちゃんがかわいいの。「自分の子として見なくても、かなり可愛いんじゃないかと思う。そう思うのを、親バカという」と遠慮がちに書いていた堀切さんですが、親バカになっても仕方がない。許してあげましょう。だって、ホントに相当の美人ちゃんなんですもん、響ちゃんって。

『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい――ミトコンドリア病の子と生きる』
堀切和雅 著(集英社新書)定価693円

お勧め度 ★★★★★

『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい――ミトコンドリア病の子と生きる』の詳細はこちら。ご購入もしていただけます。
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087203468


Book0725_2_1 ●マガジン見どころ、読みどころ

SPUR 9月号


「ルイ・ヴィトン」史上初の海外でのショーが行われた東京に、ショーと合わせて、デザイナーのマーク・ジェイコブスが来日したそうです。というわけで、さすが「SPUR」、

ルイ・ヴィトン&マークが東京を熱くした3日間
という特集で、バックステージやオフの時間のマークに密着しています。素顔のマークって、とってもお茶目。「アンダーカバー」から買い物して出てきた時の表情なんか、ただの洋服好きの小僧のようです。あと、前から思っていたんだけど、マーク、私の友達の某女性誌の編集長に似ています・・・・日本人に、こういう感じのおしゃれ男子って、時々、いませんか?

tres tres 名作トレンチBOOK
今年の秋冬は(今年も?)マストになるらしい、トレンチコート。その中でも、名作中の名作のカタログです。トレンチといったら「バーバリー」は当然ですが、「エルメス」や「ボッテガ・ヴェネタ」など、いろんなラグジュアリー・ブランドが目白押し。しかし、「エルメス」のトレンチ、126万円ときましたか~。超かっこいいんですけどね。軽自動車とかハリー・ウィンストンの一粒ダイヤモンドみたいな値段です。うーん、欲しいけど、こりゃもう、悩むまでもなく、あきらめます。

 
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2006-08-01 | 固定リンク

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