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「近代能楽集」NY公演レポートVol.2 初日観劇評

entertain0729top蜷川演出「近代能楽集」NY公演が、初日を迎えた。
関係者の張り詰めた緊張感と、観客の期待感が会場に広がる中、緞帳があがった。

今回は、アメリカ在住で、「米国ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員を務めている、演劇ルポライター影山雄成さんの初日・観劇評をお届けします。

蜷川版「近代能楽集」、NY上陸

7月28日、蜷川ワールドがニューヨークにて開花した。蜷川幸雄氏演出による「近代能楽集」が、夏の恒例リンカーンセンター・フェスティバルの一環として、3日間にわたる公演スタートさせた。三島由紀夫による同名の作品より、「卒塔婆小町」と「弱法師」の2本で構成されたこの舞台は、今回がニューヨーク初演。初日を迎えたこの日は日本からのファンも詰め掛け、会場は満席に。劇場の入り口では余ったチケットを来場者に尋ねて廻るニューヨーカーも目立った。

第一部、小野小町と深草の少将の伝説を近代に置き換え、現実と幻想の世界を往来する老婆と詩人を描いた「卒塔婆小町」では、老婆を演じる壤 晴彦さん、そして詩人役の高橋洋さんとの絶妙な掛け合いが観客を唸らせた。

休憩を挟み、観世元雅の古典を基にした「弱法師」では、戦火で盲目となり、育ての親や、実の親の愛情をも受け入れずに自分の殻に閉じこもる青年・俊徳(としのり)を演じた藤原竜也さんの演技が光った。涙で目を潤ませながらの迫真の演技は、言葉の壁を越え、アメリカ人の観客を存分に満足させたであろう。カーテンコールで会場はオールスタンディングとなった。

照明スタッフなど、日本のメンバーも携わったというこの引越し公演では、蜷川氏の意図する舞台が異国の劇場に再現された。上演されたのは昨年の10月にオープンした客席数約1200のローズ劇場。通常はジャズ演奏などを中心とした公演が目立つこの劇場で芝居が上演されるのは今回が初めて。しかし、左右対称に組まれた舞台装置、そしてそれを考慮したステージングと照明が見事に生かされた。背景幕の振り落しなど、蜷川作品では御馴染みの見せ場も健在で、同劇場での引越し公演がいかに適切な選択だったかを実感した。

今回のアメリカ公演では、舞台の上手と下手を含めた合計3ヵ所に英語の字幕が映し出された。しかし、原文の台詞を大切にするあまり、必要以上に原文に忠実に英訳されすぎており、投影のタイミングの問題もあって、出演者の日本語での台詞の美しい響きと巧演の足を引っ張ることとなったのは残念に思う。しかしながら、日本における現代劇の現状と魅力、更には日本人俳優の質の高さ、そして蜷川幸雄氏の展開する独特の世界観を米国人に知らしめた貴重な公演となったことは確かである。

(文・演劇ルポライター影山雄成)

entertain0729sub写真はすべて 前日 舞台稽古のもの。
上 「卒塔婆小町」壤 晴彦さんと高橋洋さん
下 「弱法師」藤原竜也さんと夏木マリさん

 
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2005-07-29 | 固定リンク

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» 『近代能楽集NY公演・初日レポ』 トラックバック てんねん・きなり
以前も藤原竜也さんのNY公演に関して素敵なレポを掲載してくださった集英社のサイト『S-woman net』さま にて『近代能楽集NY公演初日観劇レポ』が早速アップされております。 なんとも興味深い内容の数々・・・ 余ったチケットを求めて来場者にあたるニューヨーカーの姿があった・・・とはなんと嬉しいこと。 前日のレポも実は上がっていたようで(すみません・・・ここ数日集英社さんのサイトをチェックするの忘れてました、激しく後悔してます) NY入りしてからの記者会見や舞台稽古の様子も詳細な記事... [続きを読む]

トラックバック送信日 2005/07/29 21:34:05

» 『近代能楽集』(シアターBRAVA!) トラックバック Strawberry Surprise Annex
久しぶりに「アドリブが炸裂」しない舞台を見てきた(苦笑)。 脚本は三島由紀夫で、 [続きを読む]

トラックバック送信日 2005/07/29 23:31:53

» 祝・近代能楽集NY初日 トラックバック 一輪咲いても梅は梅
どうやら近代能楽集のN.Y公演初日はスタオベだった模様。 ああ、NYに行けなかったことが益々悔しくなってきた。留守番組はNY観劇レポ・批評を探して読んで満足するしかありません。 家庭を捨て仕事を捨てても(?)竜也君についてNYに行くべきだったわ! 一生の不覚だわ。 とにかく祝・初日大成功。 無事にこの調子で乗り切れますように・・。... [続きを読む]

トラックバック送信日 2005/07/30 0:10:30

» 蜷川幸雄演出・近代能楽集「卒塔婆小町」「弱法師」 トラックバック 好きなことは止められない♪
2000〜2001年の公演から4年。 今回の最終公演地ニューヨークを見据えて、さいたま芸術劇場から公演がスタートしています。 埼玉公演千秋楽の前日、6月18日に観てきました。 [続きを読む]

トラックバック送信日 2005/08/04 16:37:07

» 脇の重要性 トラックバック    ニ ュ ー ヨ ー ク ・ ブ ロ ウ                       ~NYでもタコ焼きを焼く英国人へ~
ニューヨークなんかに居ると、 当然ながら日本演劇には疎くなってしまう。 だから日本演劇がニューヨークに来た時は、 はっきり言って、「ヨダレじゅるるでがぶり寄り」状態で見に行く。 先日も野村萬斎の舞台が有ってそれを見に行ったが、 日本人で良かった!!と実感して帰... [続きを読む]

トラックバック送信日 2005/08/10 11:34:21

コメント

いつも楽しく拝見しております。
近代能楽集NY公演に関してこんなに詳しいレポを早々にありがとうございます!!はるか日本からこの公演の成功を心より祈る一方で、舞台がどのようなものだったか、観客の反応は?などとドキドキソワソワ・・・居ても経ってもいられない一日でしたが、ようやくほっと一息つくことが出来ました。
三島氏の使う言葉の美しさを英語で表現する難しさはあっても、それを超える演技力の高さがあったこと・・・そして言葉の壁を越えて演劇本場の観客を魅了されたことはファンにとって嬉しい限りです。
ステキなレポを有難うございました。
TBさせていただきます。

投稿: きっち☆彡 | 2005/07/29 21:03:37

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