筋金入りの美味しいパンカフェ『クピド!』(世田谷区)

本当に美味しいものに出会うと、味を分析しながらも、一方で「○○さんが好きな味かも」「△△さんに食べてもらいたいな」という思いが頭の中をぐるぐる回ってしまいがちなのですが、最近知った『クピド!』も、まさにそういうお店。
東急目黒線「奥沢」駅から歩いてすぐ、商店街の中にあるここは、味もサービスもとびきりスペシャルな空間。今日はその魅力をあますところなく伝えたいと思います。
木をふんだんに使った温かみのある空間には、シンプルな食パンからハードブレッド系、スウィートなデニッシュ類まで、さまざまな味わいのパンが少量ずつ、美しく並びます。お客である私たちは、そのディスプレイを見ながらスタッフにオーダー。というと、一般的な対面販売かと思われそうですが、それぞれのパンの長所を親切丁寧に教えてくれるから、もっともっと近しい感じ。おまけにそのアピールも、決して押し付けがましいものではなく、心にするりと入っていく心地よさ。これだから、若者から年配の方までが「また来ちゃった」という感覚で、ひっきりなしに訪れます。
ほとんどのお客さんがリピーターになってしまうその理由は、サービスはもちろんのこと、シェフの東田さんが作るパンの美味しさ。小麦粉は、国産、カナダ産、フランス産、ドイツ産など、17種類の銘柄を使い分け、イーストの役割を担う酵母も、干しぶどうやリンゴ、洋ナシ、ライ麦などを発酵させて作った自家培養のものを使っています。さらに、下ごしらえに膨大な時間と手間をかけるうえに、生地から水分を逃がさないように焼くという高度なテクニックによるその味は――パンなのに、みずみずしくしっとりモチモチ。焼いている間も粉の旨みや風味が水のバリアによって守られているから、口に入れた瞬間にはじけ、広がっていく独特の味わい。初めての方には、シンプルな「バケットトラディショナル」(¥231)や、ジューシーなレーズンやくるみがゴロゴロ入った「ノア レザン」(100g¥170)をおすすめします。
お買い物のあとは、ぜひとも奥のカフェスペースへ。テーブルが3卓だけの小さな空間では、スープの味に合うパンがつく「季節の野菜スープセット」(ドリンクつき¥950)など、軽めの食事や、つまみながらの1杯を楽しむことができます。
この日登場した「具沢山のクリームスープ」は、塩だけで味つけしたという、本当にシンプルなスープ。だけれど、ひとつひとつの野菜の持ち味を上手に引き出すよう調理しているから、まるでブイヨンなどを使ったかのようなコクや風味がある。さらに、フランスのパリはもちろん、食材の宝庫でもあるバスクやアルザス地方など、あちこちを食べ歩いたオーナーの澤口さんが選ぶグラスの「ワイン」(価格はその日の銘柄によって変動)も、それに合わせる「ドライトマト」(¥300)も、栗を食べて育つという「バスク豚のパテ」(¥900)も、東京ではなかなか巡り合えない選りすぐりのメニュー。スタッフ全員が“食い道楽”だからこそ、食材の選び方から保存法、作り方のすべてにおいて、決して妥協を許さないのが、ひしひしと伝わってきます。
うまくいえないのですが、心にぐさっと突き刺さるような『クピド!』のパンや料理の美味しさは、最良の素材を組み合わせて“足す”のではなく2倍にも3倍にも“膨らませた”味。
その秘密は、スタッフみんなもため息が出るほど優しいシェフの人柄や、美味しいものを作って、お客さんに喜んでもらうことだけを考えているという純粋な心にあるのかもしれません。来週もまた、買いに行こうと思います。
住所 東京都世田谷区奥沢3-45-1F
電話 03(5499)1839
営10時~商品終了まで
不定休
下の「コメント」をクリックして、人名欄はペンネームを、URL欄は不要、コメント欄にご意見を書き込んで「投稿」をクリックしてください。
トラックバックについて詳しくお知りになりたい方は、「トラックバックについて」をクリックしてご確認ください。
2007-11-03 【カフェ】 | 固定リンク
トラックバック
このページのトラックバックURL:
http://www.typepad.jp/t/trackback/160820/10592411
このページへのトラックバック一覧 筋金入りの美味しいパンカフェ『クピド!』(世田谷区):
コメントを投稿
*投稿された内容の修正、削除の依頼は一切応じられませんので、投稿される前に十分にご確認ください。
*「投稿」ボタンは1度だけ押してください。

コメント