『福茶』ではんなり、ほんのり。(豊島区)
12月31日の大晦日――今年最後を飾り、そして2006年の幕開けにふさわしい、うんとすてきな隠れ家カフェを紹介しますね。『福茶』と書いて“ふくさ”と読むそのカフェのありかは池袋。駅の東口をおり、ちょうどデパートの「三越」の裏手に位置するここは、水野さんご夫妻がふたりきりでのんびりと営む、小さなカフェです。
もともとは皮革工場を営んでいたおふたりは、手作りが大好きで、食べ歩きが大好きで、人が大好き。第二の人生を楽しむべく始めたのが、2005年1月に開いた甘味屋『福茶』でした。
若手の建築家藤田征樹さんに設計してもらったという、光がたっぷりと降り注ぐ真っ白な空間と、そこから臨む木々が生い茂った坪庭。和と洋、古めかしさとモダンがほどよく溶け合ったここ『福茶』では、奥さまお手製の甘味がいただけます。ほくほくで、なめらかなスイートポテトのデザート「おいも畑」(¥600)や、生のオレンジを使ったクリームブリュレ「宝石ぶりゅれ」(¥600)、季節の果物がたっぷり入った「福あんみつ」(¥700)など、どれもこれもほっぺが落ちるほどやさしい味わい。焼き物で有名な笠間へふたりでせっせと出向いて作ってもらったという器が、その温かさをより引き立ててくれます。
ご主人が淹れる日本茶も、これまた格別。日本有数の茶所から選んだ4種の「煎茶」(宇治や八女など各¥500)をはじめ、宇治田原の「玉露」(¥600)などを2つの鉄瓶を使ってていねいに淹れてくださいます。とろりとした味わいは、まるで甘い蜜のよう。
極楽気分にひたるなか、おふたりが「サービスですよ」と持ってきてくださったのが自家製の果実酒。聞けばご主人が奥さまの実家の畑で35種類もの果実を無農薬で育て、収穫したものを漬け込んだもの。野生の“またたび”や“熊笹”など、古くから妙薬として知られる種も豊富にそろっています。根っからの職人気質で、作ることが大好きなご主人。30年前から始まった趣味が高じて、今ではお店に来てくださるお客様に感謝の気持ちをこめ、無料で提供しているのだそうです。
茶香炉から放たれるお茶の清々しい香りと、ちょっぴりスローな水野さんご夫婦のおしゃべり、そして美味しいお茶と甘味。ここは私だけでなく、みなさんにとっての“アロマ”になるに、違いありません。きっとしぼんでいた細胞たちが幸せでぱんぱんに膨れ上がるはず。あぁ、こんな夫婦になれたらいいなぁなんて、電車の中でつらつら考えながら、満ち足りた気分で帰途へついたのでした。なんだかいい一年になりそう。
住所 東京都豊島区東池袋1の9の8の東葉ビル2F
電話 03(5958)2326
営業時間 11時~19時
定休日 月曜(年末年始は12月28日~1月5日まで休み)
http://www16.plala.or.jp/fukusa/
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